誰も知らない

DVDを見る。劇場で見たかったけどずっと見逃していた。
どこからどこまでが演技なのか分からなくなる演出。どうやら設定だけ役者に伝えて、あとはカメラを回していたというカンジで撮影したらしい。それだけにリアルで、どこかの家庭を覗き見しているような、もしくは家族の一員になったような気分になった。子供ってすごいなー。
実際の事件をモチーフにしているが、細かい設定やストーリーはオリジナル。見終わった後にずっと余韻が続いてしまう映画。親に捨てられた子供達の一年を切り取っている。カンヌで賞をもらった柳楽優弥くんは、その一年を通して実際にも大人になっていて、それもある意味ドキュメント。いい目をした役者だと思う。時々ものすごく大人の表情をするんだよね。そこに不思議と色気もあって。子供の成長とはこういうものなんだろうか。
秋、冬、春と季節を過ごし最後に夏が描かれるんだけど、最初はちょくちょく帰ってきた母親がいよいよ帰ってこなくなり、捨てられたという思いを決定的に感じつつ、弟・妹の面倒も見なければいけないという状況の閉塞感と絶望と苛立ちが、暑い日差しへのけだるさでうまく表されていて、そこが一番素晴らしいと思った。
特典ディスクで是枝監督の写真が見れるんだけど、カンヌに控えてホテルでタキシードに着替えている柳楽くんがとてもかわいいというか何というか・・・。大きめのシャツのボタンをはめようとしている姿は一生懸命大人になろうとしているようで、微笑ましかった。この写真見た人はみんな思わず笑顔になっちゃうだろうなぁ。