HARRYライブ@リキッドルーム

なんか祭りのようなライブだった・・・。


これからライブに行く方は以下見るのをオススメしません。
ネタバレするつもりです。



ハリーのソロライブは初見。仕事が早めに終わったのでかけつけました。
って、リキッドルームがギュウギュウ〜。熱い!ちょっと嬉しい。


で、まず驚いたのはハリーの声がスゲー出てた事。
スライダーズ終盤の頃は声も不安定で、いい意味でも悪い意味でも枯れているイメージがあったのだけど、
一気に吹き飛んだね!びっくりした。
しかもハリー、しょっぱなから笑顔満載。凄くラフなカンジ。
そんな事が、すごくグッときた。


80〜90年代の、バブル期も含めた音楽界を走っていたスライダーズ。孤高のイメージはあったけど、当時の「業界」ってやつの流れを全く無視するわけにはいかなかったと思う。メジャーレーベル、それもソニーに属してたんだし。修羅場も色々あったと思うし、自分がやりたいこと以外にもやらなければいけないことが沢山あったと思う(プロである以上、それはどうしても発生してしまうと思うけど)。

でも、今のハリーは凄く身軽なカンジだったんだよ。むしろそれを楽しんでるようにも見えた。
それが凄く感慨深くて、なんか今思い出したら泣けてきた。ウワーン!!



前半はソロ曲中心。「HOW DO WE LIVE」凄く良かった!迫力満載(このCDは通販でしか売ってないので帰りに買おうと思ってたけど出口に向かう人ごみに抗えず、断念。結局通販で買うことにしました)。カッコイイ、ハリー。
そして、私の視線はジェームスとドラムの高野君に・・・。ジェームス、オシャレさんですなー。何度も目があった気がしてイヤーンでしたが、完全に妄想です、ハイ。
で、高野君・・・顔怖いよ!(笑)変なドラッグとかやってないよね・・・?とハラハラするくらい(笑)目つきが怖くてビビリました。でもドカドカ腹に来るキレのいいドラムを叩いていて、「やるじゃん!」って思った。


中盤はリズム隊が抜けて、ハリーの弾き語りなどありつつ、後半に入ったら、これが凄かった!
「うわーその曲やっちゃう?!」ってなスライダーズの曲満載。「ハイ解禁〜!」ってカンジだった。まさに祭り。
しかも自分が好きな曲が多くて、「ああ、今夜ハリーは私の為にライブをしたんだな」と思うことにしました(笑)。
まさか「BACK TO BACK」やるとはね。クラっとした。蘭丸のリフが強烈なこの曲は絶対やらないもんだと思ってた。うまくハリーのギターだけで料理してたけど、あのリフを弾かなかった事が「ここの席は空けてるぜ」と言っているようで、胸がザワザワして、なんか舞台ソデから蘭丸が出てきそうで、すごくハッピーな気分なのに「ワーーーー!!!」って発狂しそうになった。
蘭丸もソロライブでこのリフを弾いているので、「なんか2人繋がった・・・」とも思った。あたりまえか、同じバンドで転がってきた同士だし。

そして、「Yooo!」もやっちゃったよ。ユーモアのあるリフとハリーの粋な歌詞がグルグルするこの曲。
私がスライダーズに本気で惚れたのがアルバム「SCREW DRIVER」で、それに収録されているこの曲もかなり好きだったけどライブでお目にかかれることはあまりなく、それが今になって生でハリーの声で聴けるとは思ってなかった。今日来てよかったーーーーー!!!!!


「ダイヤモンドをおくれよ」「SPECIAL WOMAN」など、王道曲の連発に盛り上がるフロア。それを見て「しょーがねーなー」ってカンジに含み笑いをするハリー。


そしてアンコールでのハリーの笑顔。「ありがとう」をマイクを通さず唇の動きで読み取った時、思った。


ハリーと蘭丸が共存するスライダーズは、ホントに強力で奇跡のバンドだった。
もしかしたら、今後ハリーと蘭丸が同じステージに立つことはないかもしれない。
2人はもう違う道を歩いている。
でももし、今後2人がスライダーズの曲を同じステージで演奏することになったら、その瞬間は自分がそこにいる幸福をかみ締めて素直に心の底から味わえばいいのではないかと。


今の蘭丸が新堂本兄弟中島美嘉の新曲のバックバンドに参加していることを揶揄する人も多い。
正直、当時は「スライダーズの蘭丸」を演じていたところもあったと思う。自分が何を求められているかを敏感に捉える公平さんだからこそね。
でも「スライダーズの蘭丸」の前に、気質が職人だった彼は、今、色々な現場に出ていくことでプレイヤーとしての自分のステージを広げていきたいんだと思う。
ジャニーズやら商業的側面やら、それはスライダーズ全盛期には考えもしなかったステージだったと思う。それを今(スライダーズとの決別を考えた時から)、引き受けている蘭丸・・・それは、スライダーズという強力なバンドへの恩返しの過程ではないのだろうか?


もし「蘭丸」イメージを保とうとしていたら、ジャニーズとの関わりは拒否していたと思う。でもフリーのプレイヤーとしてまずはそういったイメージの壁を取っ払おうとして敢えて受けたのでははないだろうか?
選り好みをする前に、まず求められたらやってみる(まあオファーの100%を受け取ってはいないだろうけど)・・・そこに、何かあるかもしれないと思っているのではないか。幅を広げたかったというか。

元々デビュー前に演歌のバックバンドをバイトでやったことがある公平さん。そのときの事を「すごく辛かったけど、楽しかった。色々知らなかった事や現実を教えてもらった」と言っていた。スライダーズというスタイルの枠の中に納まっていては知ることが出来なかったであろう経験だったと思う。



そしてこれから何年後か・・・自分がギタリストとして「よし、到達した」と思えるときに、改めてスライダーズというバンドに対してのもろもろの思いを吹っ切って「いいだろ、この曲」とプレイすることが出来るのではないだろうか。
(公平さんはソロアルバムを出す事について、「納得できるものが出来るまでゆっくりやる」と最近発言している。それは未だ自分のスタイルを模索している過程である事を表している。彼の職人気質が出まくっている発言だ)

私にとってはスライダーズの蘭丸の段階で十分天才的ギタリストなんですが、本人はまだ先をみてるんでしょうね・・・。
まあ、以上の事は私の勝手な妄想ですが。


とにかく、今後もスライダーズを、そしてハリーと公平さんそれぞれのソロを楽しめばいいやと思った。
だからハリーがスライダーズの曲をやってるときに蘭丸の幻想が出てきても、いいと思う。
それはひとつの偉大な歴史なのだから。無理に蘭丸を消す必要はない。
「くぅ〜、2人が立つステージを見たいな〜」でいいと思う。逆に言えば、それぞれのソロのスタイルを否定する必要もないってことだ。
確かにあの時代にスライダーズは生きていた。そしてそれをリアルタイムで知っている自分。それだけで幸せなことだと思えた。しかもハリーがその頃の曲をやってくれる。今のハリーのスタイルで。名曲は今も生きているって実感できる。ありがとう、ハリー。


それが今回のライブの収穫。