ダンダンブエノ「砦」@青山円形劇場

俳優の近藤芳正が主宰する「ダンダンブエノ」。初見です。


舞台は80年代初頭。地元の音楽祭に出演するため、20歳前後の楽器をろくに弾けない若者達が海の近くの合宿所に集まり、そこで青春劇を繰り広げる。

この若者達を演じるのが30代〜50代の俳優陣。まずそこが面白い。

ケンカしたり出会いがあったり悩んだり、青春時代に誰しも通るであろう、たわいのない、でも本人達は真剣な、色々な出来事を通して最後はバッチリ演奏を成立させる。


・・・素晴らしくよかった。

何がって、その空気感。過剰すぎず退屈すぎず若者が集まってあーだこーだとすったもんだする、その空気が客席まで流れてきて、まるで私たちもその合宿に参加しているような錯覚に陥った。

印象に残ったのが永島敏行。ヤクザ映画や大人の男を演じていたイメージしかなかったのだけど、今回の大雑把でドスドス歩いて仕切り屋でちょっとバカだけど熱い男、という役柄がものすごくハマってた。ファンになりそうだわ。

青い思いが交錯している場面を沢山見せられているうちに、どんどん自分の中の柔らかい部分がほぐれていくのがわかって、最後は涙腺決壊。
旨く言えないけど、柔らかい部分を大人になるにつれ硬い壁で覆っていたのだな、と思う。柔らかい部分ってなんだ?・・・素直さとか、感情に正直とか、それを相手にぶつけるとか。そんな事に気付くこと自体、青かった頃の自分に戻っていたのかもしれないけど。


最後に「現在」の登場人物が1人1人、その後の人生を語るところが本当によかった。皆、色々あったけどなんだかんだで幸せな今を過ごしている。
多分、自分も。そりゃ悩みもあるし、色々あるけどさ、なんとかやってこれてるじゃん。おそらくその場にいた観客のほとんどが、そう思ったのではないだろうか。
そう思わせたことで、この舞台は「成功」だと思った。


今回懐かしい音楽を沢山使っていて、中でもかなりグッときたのがボ・ガンボスの「ポケットの中」。「どんとぉ〜」と思ったらもう涙が止まらなかった。歌詞がほんとにヤバイ。青さを保て、忘れるなと言っているような歌詞は、凄く今の自分にマッチした。痺れました。
こういう瞬間があるから音楽を聴くことをやめられない。