オリジナル・ラヴ「東京飛行」

東京 飛行

東京 飛行

これさ・・・超名盤じゃね?
その昔、田島氏がライブ中に「俺は渋谷系じゃねぇ!」と叫んで前転した(笑)という有名なエピソードがあるが、確かに彼はずっと「渋谷系」のイメージから逃れようと試行錯誤していた気がする。だがどうだ、この作品では一気に力が抜けて自由な感触の楽曲の中で唄い泳ぐ田島氏がいる。
全体を通すとジャズ色が特に印象的で、1stの名盤「LOVE!LOVE!&LOVE!」の雰囲気を思い出す。ああいう粋なテイストの美メロはもう聴けないと思っていたが、全くの杞憂だった。なんだ、出来んじゃん!というのが第一印象。


どういう心境の変化なのかと思ったが、おそらく前作のカバーアルバム「キングスロード」で、楽曲のスタンスは関係なく、ただ良いメロディーにのせて「歌」を唄う、ということの気持ちよさを田島氏本人が実感したのではないだろうか。それが今まで封印していたパンドラの箱を開けたキッカケになった気がする。


とにかく「ハイ解禁〜!」ってカンジの曲が目白押し。特にJAZZYな#4「髑髏」の後半、畳み掛けるような盛り上がりを始まりにして、疾走感あふれる#5「カフカの城」〜#6「13号室からの眺め」への軽快でハイテンションな繋ぎは圧巻。#8の「ZIGZAG」は名盤「風の歌を聴け」を彷彿とさせる名曲。


と、なんだか過去の作品ばかりを例えに出してしまったけど、よくある「原点回帰」という名の下に過去の栄光を引きずっているような作品ではない。今までのキャリアで築き上げた、一段上の場所から投下している楽曲であることに容易に気付くことが出来る。クオリティも深みも当時より格段に凄いことになっている。


「初期のオリラブは好きだったけど、最近はちょっとね・・・」という人を再び彼の世界に引っ張り込むには最適な作品だけど、そうではないリスナーも十分堪能できる作品(実際私は中期以降のオリラブが好きなのだけど、今このアルバムを聴きながらすんごく興奮してます)。


マジで名盤。これヤバイ。とにかく聴いた方がいい。目からウロコの作品です。