ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

先日見てきました。

映画は見たことありますが、舞台では初見。三上博史が以前やって大好評だったそうな。
今回のヘドウィグは山本耕史中村中が共演。


まず、山本耕史についてあまり情報を持っていない人はコレを見たら彼がこれだけ歌える事に驚くだろう。
歌ほんとにうまいっす。器用な人だね。


ヘドウィグがとあるライブハウスで自分の人生をMCで語りながら歌う、という設定だったのですが歌がすべて英詞。
ステージ後ろのスクリーンにも英詞のままテロップを流すという演出に、いささかとまどう。
英語が分からん人(私)は感動が薄れるじゃないか〜!
私は映画を見ていたので代表曲のいくつかは少しだけ理解できたけど、それでも消化不良。初見の人にはなおさらつらいっすよ。詞の素晴らしさはこの話の大きな要素だからね・・・。


そして、凄く不思議だったこと。
この話はロックミュージカルと言われているだけあって、曲のアレンジもかなり良い出来だったと思うのですが、歌の度に立ち上がってノリまくってる方々が、一見すると普段ロックとかあまり聴いてなさそうな方が多く見受けられたこと。見た目で判断しているだけなので実際は分かりませんが。
セリフにルー・リードとかニコとか出てくるのですが、果たしてVelvet Underground を知っている人がどれだけこの中にいるのか、と。
ロックを聴かない人がこのミュージカルに熱中してはいけない、という意味では決してありません。これをキッカケに音楽に興味を持ってくれればすごく楽しいことだと思うし、単にヘドウィグの曲が好き、ってだけでもいいと思う。もちろん立ち上がっていた人の中にはロックファンもいたと思う。ただ、割合的に少なく見えたって事です。
逆に「ロックを普段から愛聴している人ももっと見るべきではないか?」と。「いかにもロック好きっぽいなー」って格好の人も沢山立ち上がって参加するべきだと。そういう舞台なんじゃないかと。


なぜそれがないか?
それは、日本の演劇界と音楽界があまりリンクしていない(ファン層含め)という事かと。大人計画とかナイロン100℃とか、音楽ファンとのリンク率が高い劇団もあるけど、同じエンターテイメントとして大きく捉えると、日本ではまだ別物となっているような気がする。チケットの取りにくさも原因の一つかな?ヘドウィグに関しては映画の時は音楽ファンからの支持も高かったのに、舞台での客層はそうでもなさそうってカンジです。もっと共有できれば演劇界も音楽界も活性化するのに。


で、音楽好きの私はどうしたかというと、特に立ち上がりもせず静観しておりました(笑)。元々ライブでも大抵腕組んで後ろから見ているような、嫌な奴タイプでございます。


この舞台を見て分かったのです。
私にとってロックとは、発散する為のものではなく、噛み締める為のものである、と。
多分性格が暗いんだな・・・。