「蒼き狼 地果て海尽きるまで」
ハイハイ、松山ケンイチ目当てで見てきましたよ〜。
作品としては、ツッコミどころ満載。チンギス・ハーンの生涯を描いた作品だけど、例えば全部日本語だったとか、そんなあげ足をとるつもりはありません。だけど、それ以外の描き方になんだかなーと思うことばかり。
なんか、2時間以上の上映時間を使って「チンギス・ハーンの人間ドラマを描きたかった」というフレコミの割には感情のバックボーンの描き方が薄いの。ペラッペラです。
例えば、
- 自分は父親の本当の息子ではないのではないか?という葛藤の場面→他の場面を描くのに忙しくて掘り下げきれてない
- 拾ってきた女戦士から「私を1人の人間として扱ってくれて、ありがとう。だから抱いて」と言われる→「そなたの誇り、受け取った!」とあっさり抱く→パンフレットによると「強く深く愛し合うようになる」とのことですが、ラブシーン1個&いつもなんか隣にいるな〜程度の描き方で、そんなに愛し合ってたとは!ってカンジ。
- 息子が自分の子供じゃないのでは?と疑い、葛藤する→自分の歴史を繰り返すという、1番チンギスの人間らしさが反映されるエピソードなのに、それに割く時間が少ない→だから息子が死ぬ時になって突然「そなたは俺の息子だ」と泣いても「どういう心境の変化?」みたいな。
- チンギス・ハーン即位式→3万人近くのエキストラを集めたこの映画1番の見所だけど、そもそもそんなに即位への上昇志向があったとは驚き(それまでは「心の通った、人を大切にした男」という描き方だったので、名誉欲は感じなかった)
まあ挙げればキリがないのですが、色々な場面を描くのに忙しくって視点が定まらず、狙っていたはずの「人間らしさ」を感じるエピソードがおざなりの感あり、ってところでしょうか。
文部科学省推薦的な、中・高校生に歴史教育の一環として見せるなら合格点だと思いますが。
とにかく!チンギスの息子役の松山ケンイチのシーンが少ないことが不満だ!ファンだから、という贔屓目ではなく(でも松ケンは精悍な顔つきながら父から愛されてない寂しさも表情に漂わせていて、カッコよかったわ〜。おそらく総出演時間15分位だと思うけど、ファンならそのためにDVDを買う価値あり)やっぱ1番ポイントのエピソードでしょう。これに時間を割いたらもっと深みのあるいい映画になったと思うのに。
ああ、モッタイネ。