クライマーズ・ハイ

早く仕事が終わったので、観にいってきました。
ネタバレありますのでご注意を。


御巣鷹日航機墜落事故を取材する地元新聞記者の戦いを描いた作品。
まず、劇中に事故の映像やドキュメント的な内容はほとんど出てこない。
本当の事故を題材にしているが、ストーリー自体はフィクションだったりする。
地元紙のプライドをかけて全国紙より先にスクープをとろうと記者達は奔走するのだが、
携帯電話が普及していない時代の事。現場での機材の不足が命とりだったりする。


そして、敵は自社にもいる。
編集部内での嫉妬や妬みからくる上司や同僚の横やり。意見の相違。販売部のメンツ。


すごく心に残る映画だった。
とにかく演出やカメラワークがうまいな〜、という印象。
自分がアカデミー賞の審査員だったらカメラマンに賞をあげたい!
ややもすると退屈になりがちな編集部内での討論の場面とかが臨場感にあふれるように撮っていて、全く飽きずに引き込まれた。


そして働いている人はぜひ見て欲しい。
過去の栄光を引きずり、守りに入る上司にタンカをきる部下達。
こんな風に言える職場はなかなかないだろ、と思う自分はぬるいなあ。
こうまで精神を削って戦うのは、自分がヒーローになるためだけではなく会社の名をあげることや読者への思いがあるからだったりして・・・なんかこういう熱い気持ちって忘れがちだったなあ。
さっきまで喧嘩してた上司と団結して販売部と戦ったりして。
その熱さがうらやましくも思えた。
それが出来るのは生きているからこそ。
沢山の死者を出した事故に関わっていくことで、自分達のがむしゃらな生があらわになっていくのは皮肉なことだけど、それだけに心に残る。


そして、乗客だった父親が家族にあてた遺書(あの有名な、本当にあった遺書)が発見され、読み上げられるシーンは泣けて泣けてしょうがなかった。


最後に主人公がヒーローにならないという結末も良い。
だからこそリアルで、胸に迫るんだよな。

この映画は映画館で見るのが1番良い。周りが暗く邪魔が入らない状況でスクリーンに集中した方が、編集部でのやりとりとかにハラハラ出来る。家で何かの合間にDVDで、とかだと魅力半減。
どうしても家で見るなら、夜、部屋を暗くしてあとは寝るだけ、みたいな状態にして見るべし。
ほんと素晴らしい映画。