THE STREET SLIDERSのラストライブをDVDで見る

麗蘭をきっかけに盛り上がってる土屋公平(蘭丸)熱が、とうとう禁断のDVDを私に見させてしまった・・・!

実は、ファン歴約15年でありながらラストライブは初見。ライブ自体は行きたかったけど、当時どうしても日曜に休めない内容の仕事をしていて(誰かにそれを引き継ぐとしたら1ヵ月はかかる、という状態の仕事)それをいいことに元々解散自体があまりに突然で信じがたい事だったので、なかったことにしていたのだ(笑)。冬眠の時は新作出るまでに平気で5年くらいかかってたし。待つことは岡村靖幸で慣れていたし(笑)。「コレを見たら本当にスライダーズは終わってしまう・・・」なんていう悲愴な理由ではなく、第二の冬眠と思ってればいいや、みたいな(この辺がO型)。まあその位永遠を感じさせたバンドではあったのだけど。

でも、とうとう禁断のDVDの封を開けてしまいました。今の私は土屋公平のことならすべてなぞりたい!という恋に似た何かに支配されてしまってまして・・・(コンプリート出来てなかった作品やら本やらをオークションなどで買いあさる始末・・・)。


でさ、見たけどさ、これはツライわー・・・。想像以上に。
元々解散の引金は蘭丸がスライダーズを抜けたい、と言った事。この辺はジャパンの蘭丸単独インタビューで明らかになってるけど、簡単に言うと「刺激がないわけではない。でも、スライダーズのギタリストとして自分が納得できる音が鳴らせなくなってしまった」といったとこだろうか。
彼はずっとスライダーズ以外では頑なにギターを弾かなかった。でも、バントが冬眠した時に麗蘭やTHE 99 1/2でソロ活動を行い、評価された。自分が本当にやりたいギタープレイと、得た自信が少しずつスライダーズの枠をはみ出してしまい、そのうち決定的に方向性が違ってきてしまったのだと思う。
その兆候としてファッションが変わってきてたし(よりファンキーに、みたいな)。具体的に言うと、パーマかけた時からかしら(これは単純に髪を毎回立てるのがめんどくさくなった可能性もあるけど。猫っ毛っぽいからね)。
もしあの時バンドが冬眠せず、蘭丸もソロやってるヒマがなかったら解散などせずに今も続いていただろうか?いや、きっとその時はハリーが先にダメになっていたと思う(休みたいと言い出したのはハリーだし)。むしろ寿命を縮めていたかも。解散は必然だったのかもしれない。
ちなみに蘭丸のインタビューが掲載された号はラストライブの2週間前に発売。解散の理由はそれまで謎だったわけで、ヘタしたら「蘭丸のせいでスライダーズは・・・。アイツ殺す!」くらいの事を思うファンもいたかもしれない。かなり妄信的なファンもいたからねー。私が蘭丸だったら「ラストライブ中に撃たれるかも?!」と思っていたダロウ。
やっぱり蘭丸はスライダーズの一員である前に1人のギター職人だったんだよ。彼にとっては「その時自分が置かれている立場で、いかに自分も回りも納得できるギターが弾けるか」ということが最大のテーマだったわけで。
でも20代30代の大事な時期はスライダーズのギタリストとして操を捧げたわけで、10代の頃はバンドが組めないような性格だったらしい彼が20年も続けられたのは奇跡だなと思う。そして、そんな奇跡を起こせるくらい、ハリーやスライダーズが魅力的だったということかと。


前置きが長くなりました。


ライブはいきなり「Angel Duster」から、というズルイ選曲。しかし、まだメンバーは若干固さあり。緊張してるのか?
2曲目の「Catch a Fire」でイントロを弾き出したハリーの顔をじっと見て、タイミングを計る蘭丸の顔、キましたわー。軽い笑顔のそれは、もう最後だという事に腹をくくっているような表情でさ・・・。
ライブは思ったより和やかな雰囲気で淡々と進む。セットも何もない状態でスライダーズは裸同然。
選曲も、全盛期の頃のを沢山持ってくると思っていたけど、全作品からバランスよく持ってきた感じ。むしろ、アルバム化されていない直近の作品を多く持ってきていたことに驚いた。蘭丸のボーカル曲なんて沢山あるのにあえて最新の「FEVER」だったり、まさかインストの「P-SKINS」入れるとは(でもこの曲個人的には好き。スタジオでいつもこうやってジャムってたんだろうな、という光景がリアルに見えてきて嬉しくなるから)。
やっぱりこの辺が彼らの美学というか・・・。きっと昔の曲ばかりなら当然盛り上がるだろうけどナツメロ大会になってしまいかねない。解散決定まで前進し続けていたスライダーズだからこそ「今のスライダーズを見せようぜ」ってことになったのではないだろうか。
超定番曲の「カメレオン」とか「TOKYO JUNK」も、2000年のスライダーズバージョンでのアレンジだった。いくらでも当時の音をそのまま演ることはできただろうに。ほんと最後まで嘘をつかないバンドだ。
ハリーも自然体で時折笑顔だったけど、どこか寂しげなニュアンスも確実に読み取れるところがなんとも切ない。やっぱ一番解散がショックだったのはハリーだろうしなー。
しかし「BACK TO BACK」の蘭丸の出だしはほんとカッコイイ。あのリフ。あの微妙なタメ。腰を落として弾く姿勢。最高。ライブでは定番曲だったけど、もう一度生で見たい。きっと燃えるだろうなー。
「SO HEAVY」イントロのハリーと蘭丸のギター対決。楽しそうにやるんだもんなー、まいっちゃうよ。アナタ達、離れる必要が本当にあったの?とつい思ってしまう。
最後の曲が終わって、ハリーが蘭丸の肩にずっと手を置いていて、それが「お疲れ、ありがとな」と言っているようで、かなりグッときた。だって、ジェームスにジャマされるまで(笑)ずっと、ずっと手を置いてるんだもん。
で、メンバーが去った後、客席には「虹をみたかい」が流れる、というセンチメンタルな終わり方。「当日はそこで皆が号泣していた」と噂に聞いた時は「またまたー」なんて思ってたけど、無理っす。ええ、私もここで泣きましたとも。泣くよ、ありゃ。


しかしまあ、今後再結成まではないにしてもハリーと蘭丸で組んで何かやってくれないかしら。スライダーズと同じものじゃなくてもいいからさー。蘭丸ファンとしては麗蘭もソロもいいけど、それでは見られないマジックが、ハリーの隣にいると起こるような気がする(もちろん4人揃うのが一番理想だけど)。あの位置だとほんと輝くんだよなー、無骨なハリーの横でヒラヒラと華やかに弾く蘭丸がさ。絶妙の取り合わせで、ホント奇跡的で魅力的だったと思うよ。
多分言いだしっぺだけに、蘭丸から「もう一度・・・」とは言いにくいだろうから、ハリーから誘ってやってください(笑)。